異種楽器対談 第11回、第12回
異種楽器対談
オーケストラのプレーヤーは大のお話好きです。楽屋、居酒屋、はたまた本番中のステージで(あ、これは聞かなかったことにしてください。)おしゃべりに夢中です。特に楽しいのは楽器のウンチク。ちょっとのぞいてみましょうか。プレーヤーならではのお話が聞けそうです。なかには少しあやしいものもあるようですが・・・
第11回、第12回 トランペットの持田眞さん、クラリネットの千石進さん
────トランペットの持田眞さんが、クラリネットの千石進さんになにやら尋ねています。────
──(千石)この間富山でアメフラシの卵食べたじゃない。
「海そうめん」って言うんだけどね。もずくの太いのだと思って食べてたら、親方出てきて「それ海草じゃないよ」って。
(持田)面白い食感だからみんななんだろうって言ってて、聞いたらアメフラシってね。しかもある短い期間しか取れない貴重なものらしいね。
──地元の人の口にも殆ど入らないって。海の表面に出ちゃうともうだめとかで、岩の下に生みつけてあるのを採ってくる。こういう仕事やってて、食べるの一番楽しみかな。
千石さんけっこう食通ですよね。
──食通ってわけじゃないんだ。フォアグラとか三大珍味とかあるじゃない。ああいうものが好きなわけじゃなくて。でも食うことと飲むことは好きかな。
家庭菜園とかもやってるじゃないですか。
──(笑)やってるね。そうね。やっぱ売ってるものと違うからね。露地栽培だから。
なんでやってるかというと、最初トマトを植えてみたのね。そしたら雑草だらけの中に生えたんだけど、結果的にそのほうがいいんだってね。自然農法でたまたまできたトマトがすんごいよかったの。これだったら自分で作った方が旨いなって思ったの。
昨日ちょっと話してたじゃないですか、リードの材料。葦って自分で栽培しようとか思いませんか?
──僕は今リード、丸材という材料から自分で作ってて、実は栽培したいと思ってるんだけど、日本の気候が合わないみたいで、あんまり繊維が細かくならないんじゃないかな。だから輸入してるところに頼んで材料は手に入れてますけど。
もともと種類自体は同じなの。
──日本の葦と?同じ同じ。
生息地の気候とかで使えるものになるには難しい。
──そうみたい。今度作ってる人の見せてもらうんだけど、竹みたいに繊維が太いっていうか、リードの尖端てミクロの単位の薄さにしないとならないので、繊維が太いとボソボソになっちゃってリードにならないと思う。
どこの葦なんですか?
──フランス。フランスでもイタリアに近い方。南の方は材質が硬くて、北の方は柔らかいって感じなんですけど。こういうのは奥さんの方が詳しい?
んー、うちのかみさん(※ファゴット奏者の富士美さん)もいろいろ試してるみたいだけど、結局使うのは限られてくるみたいね。
硬い柔らかいって吹いたときにどんな影響があります。
──コシがあるとかないとかいうんだけど、柔らかいのは振動する面の幅が広くなるっていうのかな、硬いのはそれが少なくなるから、たくさん息を吹き込まないと振動しないって感じ。
硬いの好きな人、柔らかいの好きな人とかいるんですか。
──人によって好みが全然違うんじゃないかな。
前に聞いたことあるんだけど、市販のリードって1箱10枚で、その中で使えるの1、2枚ぐらいとか。
──それは事実です。学生の時はリード削るなんてこと知らなかったから、試験の前は10箱くらい買ってきて、その中から1枚良いのを捜すんだって教わりましたけどね。先生に。
その残ったのはなにをしても駄目なの。
──今は僕リード削れるので、ほとんどのは使えるようになりますけど、昔はただ無駄に捨ててましたね。
誰かラーメンの箸がわりに使ってたって。
──ん、そういう人もいるね(笑)。そういう利用法もあるね(笑)。うちのオーケストラにそういうクラリネットの人いますね。独身時代に。
リードって寝かせておくと変わるとか、季節で変わるとかあります。
──変わりますね。変わって良くなることもあるし、全然スカスカになることもあるし。湿気の多い時の方がリードは重い感じっていうか、厚い感じがするんですよ。乾燥してる時は軽い感じ。同じリードを海外に持っていくと全然違う印象になると思う。
リードは市販のはずーっと満足いかなくて、作り始めたら本当に作ったものの方がいいので、なんでみんな作らないのかなあって思うの。リード作るといろんなことがわかってきて、鳴り方の仕組みっていうのかな。こうするとピッチの下がるリードになるとか。
リードを楽器につける金具、あれ、カール・ライスター(※ベルリン・フィルのクラリネット奏者)がやってるように紐で縛るの試したことあります?
──紐はないね。輪ゴムは試したけど。
(笑)輪ゴム?輪ゴムどうでした。
──やっぱりきつく締めるの時間かかるし、ゆるいとうまく振動しないし。こだわる人はこだわるよね。うちのオーケストラは3人とも同じの使ってますね。
まだ見たことないんだけど、糸巻きの人が曲の途中でリードを替えてたっていう話。
──エキストラで来た人だけど、僕らが金具で締めるより物凄く速かった。
ライスターさんが来た時、裏でゆっくり巻いてるのは見たことあるけど。毎回巻き方が違っちゃうような気がするんですが。
──加減がね。でも慣れちゃったら金具より確実じゃないかな。
「海そうめん」って言うんだけどね。もずくの太いのだと思って食べてたら、親方出てきて「それ海草じゃないよ」って。
(持田)面白い食感だからみんななんだろうって言ってて、聞いたらアメフラシってね。しかもある短い期間しか取れない貴重なものらしいね。
──地元の人の口にも殆ど入らないって。海の表面に出ちゃうともうだめとかで、岩の下に生みつけてあるのを採ってくる。こういう仕事やってて、食べるの一番楽しみかな。
千石さんけっこう食通ですよね。
──食通ってわけじゃないんだ。フォアグラとか三大珍味とかあるじゃない。ああいうものが好きなわけじゃなくて。でも食うことと飲むことは好きかな。
家庭菜園とかもやってるじゃないですか。
──(笑)やってるね。そうね。やっぱ売ってるものと違うからね。露地栽培だから。
なんでやってるかというと、最初トマトを植えてみたのね。そしたら雑草だらけの中に生えたんだけど、結果的にそのほうがいいんだってね。自然農法でたまたまできたトマトがすんごいよかったの。これだったら自分で作った方が旨いなって思ったの。
昨日ちょっと話してたじゃないですか、リードの材料。葦って自分で栽培しようとか思いませんか?
──僕は今リード、丸材という材料から自分で作ってて、実は栽培したいと思ってるんだけど、日本の気候が合わないみたいで、あんまり繊維が細かくならないんじゃないかな。だから輸入してるところに頼んで材料は手に入れてますけど。
もともと種類自体は同じなの。
──日本の葦と?同じ同じ。
生息地の気候とかで使えるものになるには難しい。
──そうみたい。今度作ってる人の見せてもらうんだけど、竹みたいに繊維が太いっていうか、リードの尖端てミクロの単位の薄さにしないとならないので、繊維が太いとボソボソになっちゃってリードにならないと思う。
どこの葦なんですか?
──フランス。フランスでもイタリアに近い方。南の方は材質が硬くて、北の方は柔らかいって感じなんですけど。こういうのは奥さんの方が詳しい?
んー、うちのかみさん(※ファゴット奏者の富士美さん)もいろいろ試してるみたいだけど、結局使うのは限られてくるみたいね。
硬い柔らかいって吹いたときにどんな影響があります。
──コシがあるとかないとかいうんだけど、柔らかいのは振動する面の幅が広くなるっていうのかな、硬いのはそれが少なくなるから、たくさん息を吹き込まないと振動しないって感じ。
硬いの好きな人、柔らかいの好きな人とかいるんですか。
──人によって好みが全然違うんじゃないかな。
前に聞いたことあるんだけど、市販のリードって1箱10枚で、その中で使えるの1、2枚ぐらいとか。
──それは事実です。学生の時はリード削るなんてこと知らなかったから、試験の前は10箱くらい買ってきて、その中から1枚良いのを捜すんだって教わりましたけどね。先生に。
その残ったのはなにをしても駄目なの。
──今は僕リード削れるので、ほとんどのは使えるようになりますけど、昔はただ無駄に捨ててましたね。
誰かラーメンの箸がわりに使ってたって。
──ん、そういう人もいるね(笑)。そういう利用法もあるね(笑)。うちのオーケストラにそういうクラリネットの人いますね。独身時代に。
リードって寝かせておくと変わるとか、季節で変わるとかあります。
──変わりますね。変わって良くなることもあるし、全然スカスカになることもあるし。湿気の多い時の方がリードは重い感じっていうか、厚い感じがするんですよ。乾燥してる時は軽い感じ。同じリードを海外に持っていくと全然違う印象になると思う。
リードは市販のはずーっと満足いかなくて、作り始めたら本当に作ったものの方がいいので、なんでみんな作らないのかなあって思うの。リード作るといろんなことがわかってきて、鳴り方の仕組みっていうのかな。こうするとピッチの下がるリードになるとか。
リードを楽器につける金具、あれ、カール・ライスター(※ベルリン・フィルのクラリネット奏者)がやってるように紐で縛るの試したことあります?
──紐はないね。輪ゴムは試したけど。
(笑)輪ゴム?輪ゴムどうでした。
──やっぱりきつく締めるの時間かかるし、ゆるいとうまく振動しないし。こだわる人はこだわるよね。うちのオーケストラは3人とも同じの使ってますね。
まだ見たことないんだけど、糸巻きの人が曲の途中でリードを替えてたっていう話。
──エキストラで来た人だけど、僕らが金具で締めるより物凄く速かった。
ライスターさんが来た時、裏でゆっくり巻いてるのは見たことあるけど。毎回巻き方が違っちゃうような気がするんですが。
──加減がね。でも慣れちゃったら金具より確実じゃないかな。
──オケで持ち替えあるでしょ、B管とA管ね。よく間違えて吹くことあるんだけど(笑)。その時は半音下げたり上げたりたりして吹くんだけど、そのうち間に合わなくなってきて、たくさん音が鳴っているときにこっそり取り替える。
じゃ、それ本番だったら、取り替えられるまではがんばって頭の中で読み替えする。
──うん。あとね、本番の最中。休みのとこでスワブっていう管の中を掃除する道具を通した時にひっかかっちゃって、楽器の中に。そういう時ってあせっているからほんとに抜けないんだよね、いくらやっても。ものすごいあせる。
で、どうしたんです。
──無理やり引っ張った。
千石さんよくバスクラと持ち替えるじゃないですか。感覚的に違和感ないんですか。
──ぼくはあんまり違和感ないかな。Esクラと普通の楽器だと大変かもしれない。
A管とB管はリード一緒ですよね。Esクラは。
──違う。小さい。バスクラは大きい。
もちろんバスクラのリードも自分で作ってるんですよね。
──バスクラのも作る。大きいリードの方が簡単なんだよね。雑でいいから。
幅も長さも違うんでしょ。
──うん。リードって小さいほど細かいことが影響するみたいで、だからファゴットとかオーボエの人はずいぶん大変だよね。逆に、バスクラとかサックスのは雑でいいから、そんなこと言うとサックスの人に怒られるかもしれないけど、列車の窓からサックス出したら音が出たっていう誰でも知ってる笑い話があるけどね、ほんとにそういう感じなの。
1枚のリードってどのくらいの長さ使えるの。
──どのくらいかな。バスクラは吹く頻度少ないんだけど、半年くらい前に使ったのまだ使ってる。(笑)なんかいいかげんみたいだね。ほんとは計算してるんだけどね。
キノコ採りも行くの?
──キノコは行かないんだ。山菜は行くけど。秋はアケビと栗くらい。このあいだアケビ採りに行ってきた。村田のほうに。
どうやって食べるんですか?
──そのまま。山形は外も食べるんだけど、僕は中だけ。中身はほとんど種なんだけど、周りに白い甘いのが付いていて、種ごと口の中に頬張ってなめるかんじ。なめたら種吐き出す。
果物系?
──果物かな。なんだろ、あの甘味って。ミルクのような甘味っていうか。いっぱいなってたんだけど、採れなかった。ずっと高いところにあって。
ああ、アケビって蔓でしたっけ。
──そう、蔓。クリスマスのリース編んだりするのに使う。家族と行ってね、高いところにあるやつ、石投げたり枝持ってきてぶつけたりしたけどだめでした。
高枝バサミがあれば…。
──そう、高枝バサミ持ってればね(笑)。
前の定期演奏会、普通のクラリネットじゃないのでてましたよね。
──ああ、バセットホルンね。あれはもうすたれちゃった楽器なのね。機能的にあんまりよくなくて、普通の楽器より難しいというか、息が入りにくいの。でもモーツァルトがわざわざ「グラン・パルティータ」とか「レクイエム」でバセットホルンで書いてるから、最近どこのオーケストラもその指示通りにするようになってきてるね。音は出しにくいんだけど、音色が渋くていいんだよね。なんともいえない、古楽器っぽい音がしてね。現代の楽器みたいにすこーん!とは鳴らなくてちょっと欲求不満があるんだけど、でも音の感じは柔らかくていいんだよ。
長いですよね。
──楽器の形は、吹奏楽でよく使うアルトクラリネットって言って、バスクラリネットよりひとまわり小さい楽器があるんだけど、それと同じような形。
音域は?
──バスクラより狭くてクラリネットよりは広い。最低音がF。あとね、別にC管のクラリネット持ってるんだけど、オケの譜面の中でinCっていうのがたくさんあって、作曲者がinBやinAに直すのが面倒でinCで書いてる場合もあるし、モーツァルトやベートーヴェンはC管を使ってくれっていうことなので、そういう時C管で吹くと感じが全然違って面白い。どっちかっていうとEsクラに音色近いかな。管が短いから。
読み替えってめんどくさいですよね。
──めんどくさいね。あ、そっちもたくさんあるもんね。
そう、僕はトランペット始める前にピアノやってたから、頭の中は実音だったのね。トランペットのドは実音はシのフラットでしょ。自分はシのフラット吹いてるのに、先輩はドだドだって。それがぜんぜんわかんなかった。それで始めた頃は譜面読めなくて。
──読み替えって大変だけど、ホルンの人なんか凄いよね。なんでもありでしょ。
どの調でも吹けるよね。
──バスクラってほとんどB管なんだけど、A管ていうのもあって、一度もみたことはないけど。で、Bの譜表で書いてあって、しかもinAって書いてあるの。これは絶対読み替えられない。こんな時は転調して書き変えちゃうの。
そういえば千石さんよく書いてますよね。
──ときどきinCの楽譜読んでて、いきなりinBになってて、でもinCのまま読んでたり。
オペラに多いですよね。一回吹いたあと20分ぐらい出番なくて、で、出てくる時に調子変わってて。半信半疑で出るときあるもんね。楽器始めた頃はそれで譜面読むのに時間かかった。
──その分たくさんさらえたね。
いやあ、どうでしょうかね。
じゃ、それ本番だったら、取り替えられるまではがんばって頭の中で読み替えする。
──うん。あとね、本番の最中。休みのとこでスワブっていう管の中を掃除する道具を通した時にひっかかっちゃって、楽器の中に。そういう時ってあせっているからほんとに抜けないんだよね、いくらやっても。ものすごいあせる。
で、どうしたんです。
──無理やり引っ張った。
千石さんよくバスクラと持ち替えるじゃないですか。感覚的に違和感ないんですか。
──ぼくはあんまり違和感ないかな。Esクラと普通の楽器だと大変かもしれない。
A管とB管はリード一緒ですよね。Esクラは。
──違う。小さい。バスクラは大きい。
もちろんバスクラのリードも自分で作ってるんですよね。
──バスクラのも作る。大きいリードの方が簡単なんだよね。雑でいいから。
幅も長さも違うんでしょ。
──うん。リードって小さいほど細かいことが影響するみたいで、だからファゴットとかオーボエの人はずいぶん大変だよね。逆に、バスクラとかサックスのは雑でいいから、そんなこと言うとサックスの人に怒られるかもしれないけど、列車の窓からサックス出したら音が出たっていう誰でも知ってる笑い話があるけどね、ほんとにそういう感じなの。
1枚のリードってどのくらいの長さ使えるの。
──どのくらいかな。バスクラは吹く頻度少ないんだけど、半年くらい前に使ったのまだ使ってる。(笑)なんかいいかげんみたいだね。ほんとは計算してるんだけどね。
キノコ採りも行くの?
──キノコは行かないんだ。山菜は行くけど。秋はアケビと栗くらい。このあいだアケビ採りに行ってきた。村田のほうに。
どうやって食べるんですか?
──そのまま。山形は外も食べるんだけど、僕は中だけ。中身はほとんど種なんだけど、周りに白い甘いのが付いていて、種ごと口の中に頬張ってなめるかんじ。なめたら種吐き出す。
果物系?
──果物かな。なんだろ、あの甘味って。ミルクのような甘味っていうか。いっぱいなってたんだけど、採れなかった。ずっと高いところにあって。
ああ、アケビって蔓でしたっけ。
──そう、蔓。クリスマスのリース編んだりするのに使う。家族と行ってね、高いところにあるやつ、石投げたり枝持ってきてぶつけたりしたけどだめでした。
高枝バサミがあれば…。
──そう、高枝バサミ持ってればね(笑)。
前の定期演奏会、普通のクラリネットじゃないのでてましたよね。
──ああ、バセットホルンね。あれはもうすたれちゃった楽器なのね。機能的にあんまりよくなくて、普通の楽器より難しいというか、息が入りにくいの。でもモーツァルトがわざわざ「グラン・パルティータ」とか「レクイエム」でバセットホルンで書いてるから、最近どこのオーケストラもその指示通りにするようになってきてるね。音は出しにくいんだけど、音色が渋くていいんだよね。なんともいえない、古楽器っぽい音がしてね。現代の楽器みたいにすこーん!とは鳴らなくてちょっと欲求不満があるんだけど、でも音の感じは柔らかくていいんだよ。
長いですよね。
──楽器の形は、吹奏楽でよく使うアルトクラリネットって言って、バスクラリネットよりひとまわり小さい楽器があるんだけど、それと同じような形。
音域は?
──バスクラより狭くてクラリネットよりは広い。最低音がF。あとね、別にC管のクラリネット持ってるんだけど、オケの譜面の中でinCっていうのがたくさんあって、作曲者がinBやinAに直すのが面倒でinCで書いてる場合もあるし、モーツァルトやベートーヴェンはC管を使ってくれっていうことなので、そういう時C管で吹くと感じが全然違って面白い。どっちかっていうとEsクラに音色近いかな。管が短いから。
読み替えってめんどくさいですよね。
──めんどくさいね。あ、そっちもたくさんあるもんね。
そう、僕はトランペット始める前にピアノやってたから、頭の中は実音だったのね。トランペットのドは実音はシのフラットでしょ。自分はシのフラット吹いてるのに、先輩はドだドだって。それがぜんぜんわかんなかった。それで始めた頃は譜面読めなくて。
──読み替えって大変だけど、ホルンの人なんか凄いよね。なんでもありでしょ。
どの調でも吹けるよね。
──バスクラってほとんどB管なんだけど、A管ていうのもあって、一度もみたことはないけど。で、Bの譜表で書いてあって、しかもinAって書いてあるの。これは絶対読み替えられない。こんな時は転調して書き変えちゃうの。
そういえば千石さんよく書いてますよね。
──ときどきinCの楽譜読んでて、いきなりinBになってて、でもinCのまま読んでたり。
オペラに多いですよね。一回吹いたあと20分ぐらい出番なくて、で、出てくる時に調子変わってて。半信半疑で出るときあるもんね。楽器始めた頃はそれで譜面読むのに時間かかった。
──その分たくさんさらえたね。
いやあ、どうでしょうかね。