異種楽器対談 第21回、第22回
異種楽器対談
オーケストラのプレーヤーは大のお話好きです。楽屋、居酒屋、はたまた本番中のステージで(あ、これは聞かなかったことにしてください。)おしゃべりに夢中です。特に楽しいのは楽器のウンチク。ちょっとのぞいてみましょうか。プレーヤーならではのお話が聞けそうです。なかには少しあやしいものもあるようですが・・・
第21回、第22回 ヴァイオリンの柳澤直美さん、ヴィオラの御供和江さん
────ヴァイオリンの柳澤直美(やなぎさわ なおみ)さんが、ヴィオラの御供和江(みとも かずえ)さんになにやら尋ねています────
(御供)今日はなんでも聞いてちょうだい。
――(柳澤)じゃあねぇ…
でも私言っとくけどたぶんヴィオラセクションの中で一番ヴィオラのこと知らないよ。
――じゃあヴィオラのことは聞かない。
じゃあ何聞くんだよぉ(笑)あのね、嫁に貰うんならヴィオラなんだよ。
――えぇ、どういうこと?
だから、嫁に貰うならいろんな楽器がいるけど、ヴィオラの女が一番って。
――なんでぇ?
性格いいからでしょ。
――えぇ!?それ違うだろ。
ヴィオラなんかいっつもヴァイオリンの顔色見てチェロの顔色見て、かわいそうにあっちにもこっちにも…
――え、それと性格よいのは関係なくない?
だから。お舅さんの顔見て、だんなの顔見て。
――あぁ、みんなの顔色伺ってうまく…
そう。ヴィオラのおかげでオーケストラは円満に動いて。
――本当にそう思ってる?
そう思いたい。
――(笑)
そういうヴィオラに私はなりたいと思ってる。
――なるほどすばらしい。でもヴィオラの人ってヴァイオリンに対してヴィオラのプライドみたいなのがあるよね。
昔ヴィオラはヴァイオリンの下手な人が弾くものっていうのが、うちのお父さんくらいの人ってヴァイオリン弾けないからヴィオラって感覚があって、いまだにそう思っている人が世の中に多くって。
――そうなんだ。
そういう人がいるから、「ばっきゃろー、んなわけないだろー。ヴィオラ科だってあるのによー。」ってなる。
――そうか。…一番嫁に行きたいのがヴィオラ。
貰いたいのが!
――あ、嫁にするならヴィオラか(笑)でも初めて聞いたよそんなの。
私の中では有名なんだけど。
――誰かに言われたの?たぶん嘘だよそれ(笑)
二人くらいに言われた…かも。
――そうか。でもプライドあるでしょ。
でもプライドはどの楽器でもそれぞれあるでしょう。
――そうだよね。生まれ変わったら次何の楽器やるとか考えたことあります?
ありません。だって楽器やんないかもしれないし。
――そうだけどさぁ…。
もし次やるとしたらもっとちっちゃい楽器にしようかな、ピッコロとか。
――あぁー、なんか気持わかる。
わかるでしょ。ピッコロ持って買い物できるけど、ヴィオラ持って買い物できなくて。だから仙台の街ぶらぶらしないもん、楽器邪魔だから。
――確かにねぇ。チェロなんか飛行機もう一席取らないといけないしね。
チェロは楽器じゃないから。
――え、あれはなんなの?
あれはタンスの仲間じゃない。
――(笑)家具!?
コントラバスは家具らしいから。
――そうか、そうか。
ヴァイオリンてなんか華奢なイメージがあるよね。
――え、楽器が?
んー、「天才」とか「華奢」とかってイメージが。
――あぁー。
なんかかわいい女の子が弾いてる楽器、っていうか。ま、イメージなんだけどね。それに比べるとヴィオラなんか、もっと年とった…。
――ヴィオラの女の人って声も低そうな気がする。
そうでしょう。
――御供さんは高いけどね。
いやいやいや、私も結構低いんだけど(わざと低い声)
――(笑)いいよ無理して変な声出さなくても。
この低い声、紙に書かれるときどうやって書かれるのかな、面白いからこのまましゃべってみよう。
――(低い声)とかなるんだよ、きっと(笑)
ヴィオラって旋律くるの嫌なの。
――なんでぇ?
びっくりする。平気で「ズンチャッチャー、ズンチャッチャー」って弾いてるときに突然旋律くると、見ててわかるけどヴィオラ全員、かっ!って前傾姿勢になってると思う(笑)「え!俺らだったのか!これは旋律だったのかっ!」みたいな。
――(笑)でもヴィオラっていきなりオイシイところとかあったりするじゃん。
それはチェロじゃん。
――まぁ、チェロはおいといて、ヴィオラもたまにあるじゃん。
たまーに。でもそれがすごい迷惑だったりするんだよ。
――迷惑なんだあれは。
だっていつも地道に地面の草取りしてるみたいなのがさ、いきなりスポットライトぱーんと当たって「どうですか気分は?」っていきなりインタビュー受けちゃってるみたいなさ。そういう嫌さはあるかな。こっぱずかしさっていうかさ。
――あぁ…。
いいじゃんこんなのセカンド(ヴァイオリン)かチェロにやらしといてよ、みたいな。
――室内楽とかでも?待ってましたって感じにならないの。
待ってない。
――あ、待ってないんだ。そうなんだ。
そういうのが好きなヴィオラの人もいると思うけど、私はわりかし誰かの裏でごちゃごちゃしてるのが好き。誰かがわーって歌ってるじゃん、で、「ハイーハイッ!」みたいな。「アチョイナチョイナ」みたいな。そういうほうが好き。
――そうかそうか。
だからヴァイオリンに「ハイーハイッ」ってやられると、やっぱ嫌だから代わってって感じ。
――役割違うだろうっていう。
うん。ヴィオラはメインのキャラじゃないね。オケでも楽器お客さまに向けないでひっそり弾いてるし。ほら、ヴァイオリンは図々しいから、お客のほう向いて…。
――だから、そういうことすぐ言うじゃん!ヴィオラは楽器も向けてないしぃとかさぁ、目立たないしぃ、何弾いているかわかんないでしょ、みたいなさ。そこにプライドを感じるんだよね、私は。
(笑)え、それどういうこと。
――うーん…なんていうか…ちょっと…
――(柳澤)じゃあねぇ…
でも私言っとくけどたぶんヴィオラセクションの中で一番ヴィオラのこと知らないよ。
――じゃあヴィオラのことは聞かない。
じゃあ何聞くんだよぉ(笑)あのね、嫁に貰うんならヴィオラなんだよ。
――えぇ、どういうこと?
だから、嫁に貰うならいろんな楽器がいるけど、ヴィオラの女が一番って。
――なんでぇ?
性格いいからでしょ。
――えぇ!?それ違うだろ。
ヴィオラなんかいっつもヴァイオリンの顔色見てチェロの顔色見て、かわいそうにあっちにもこっちにも…
――え、それと性格よいのは関係なくない?
だから。お舅さんの顔見て、だんなの顔見て。
――あぁ、みんなの顔色伺ってうまく…
そう。ヴィオラのおかげでオーケストラは円満に動いて。
――本当にそう思ってる?
そう思いたい。
――(笑)
そういうヴィオラに私はなりたいと思ってる。
――なるほどすばらしい。でもヴィオラの人ってヴァイオリンに対してヴィオラのプライドみたいなのがあるよね。
昔ヴィオラはヴァイオリンの下手な人が弾くものっていうのが、うちのお父さんくらいの人ってヴァイオリン弾けないからヴィオラって感覚があって、いまだにそう思っている人が世の中に多くって。
――そうなんだ。
そういう人がいるから、「ばっきゃろー、んなわけないだろー。ヴィオラ科だってあるのによー。」ってなる。
――そうか。…一番嫁に行きたいのがヴィオラ。
貰いたいのが!
――あ、嫁にするならヴィオラか(笑)でも初めて聞いたよそんなの。
私の中では有名なんだけど。
――誰かに言われたの?たぶん嘘だよそれ(笑)
二人くらいに言われた…かも。
――そうか。でもプライドあるでしょ。
でもプライドはどの楽器でもそれぞれあるでしょう。
――そうだよね。生まれ変わったら次何の楽器やるとか考えたことあります?
ありません。だって楽器やんないかもしれないし。
――そうだけどさぁ…。
もし次やるとしたらもっとちっちゃい楽器にしようかな、ピッコロとか。
――あぁー、なんか気持わかる。
わかるでしょ。ピッコロ持って買い物できるけど、ヴィオラ持って買い物できなくて。だから仙台の街ぶらぶらしないもん、楽器邪魔だから。
――確かにねぇ。チェロなんか飛行機もう一席取らないといけないしね。
チェロは楽器じゃないから。
――え、あれはなんなの?
あれはタンスの仲間じゃない。
――(笑)家具!?
コントラバスは家具らしいから。
――そうか、そうか。
ヴァイオリンてなんか華奢なイメージがあるよね。
――え、楽器が?
んー、「天才」とか「華奢」とかってイメージが。
――あぁー。
なんかかわいい女の子が弾いてる楽器、っていうか。ま、イメージなんだけどね。それに比べるとヴィオラなんか、もっと年とった…。
――ヴィオラの女の人って声も低そうな気がする。
そうでしょう。
――御供さんは高いけどね。
いやいやいや、私も結構低いんだけど(わざと低い声)
――(笑)いいよ無理して変な声出さなくても。
この低い声、紙に書かれるときどうやって書かれるのかな、面白いからこのまましゃべってみよう。
――(低い声)とかなるんだよ、きっと(笑)
ヴィオラって旋律くるの嫌なの。
――なんでぇ?
びっくりする。平気で「ズンチャッチャー、ズンチャッチャー」って弾いてるときに突然旋律くると、見ててわかるけどヴィオラ全員、かっ!って前傾姿勢になってると思う(笑)「え!俺らだったのか!これは旋律だったのかっ!」みたいな。
――(笑)でもヴィオラっていきなりオイシイところとかあったりするじゃん。
それはチェロじゃん。
――まぁ、チェロはおいといて、ヴィオラもたまにあるじゃん。
たまーに。でもそれがすごい迷惑だったりするんだよ。
――迷惑なんだあれは。
だっていつも地道に地面の草取りしてるみたいなのがさ、いきなりスポットライトぱーんと当たって「どうですか気分は?」っていきなりインタビュー受けちゃってるみたいなさ。そういう嫌さはあるかな。こっぱずかしさっていうかさ。
――あぁ…。
いいじゃんこんなのセカンド(ヴァイオリン)かチェロにやらしといてよ、みたいな。
――室内楽とかでも?待ってましたって感じにならないの。
待ってない。
――あ、待ってないんだ。そうなんだ。
そういうのが好きなヴィオラの人もいると思うけど、私はわりかし誰かの裏でごちゃごちゃしてるのが好き。誰かがわーって歌ってるじゃん、で、「ハイーハイッ!」みたいな。「アチョイナチョイナ」みたいな。そういうほうが好き。
――そうかそうか。
だからヴァイオリンに「ハイーハイッ」ってやられると、やっぱ嫌だから代わってって感じ。
――役割違うだろうっていう。
うん。ヴィオラはメインのキャラじゃないね。オケでも楽器お客さまに向けないでひっそり弾いてるし。ほら、ヴァイオリンは図々しいから、お客のほう向いて…。
――だから、そういうことすぐ言うじゃん!ヴィオラは楽器も向けてないしぃとかさぁ、目立たないしぃ、何弾いているかわかんないでしょ、みたいなさ。そこにプライドを感じるんだよね、私は。
(笑)え、それどういうこと。
――うーん…なんていうか…ちょっと…
ヴィオラって何だろねぇ。変なこと言ってみんながそうだと思われると困るんだけど、目立たなくごまかしちゃえみたいなそんなのがあるのかな。
――でもすごい重要じゃん。
もっと言ってくれたまえ。
――全体が変わるじゃん。
あと3回くらい言ってもいいよ(笑)ヴィオラは大事大事。
――(笑) 大事なのは知ってる。
でもヴィオラって楽器の名前とか知らない人いっぱいいるし。
――あ、ヴィオラ自体知らない人?
そうそう。小学校とかに行って(音楽鑑賞教室で)楽器紹介とかやると「これはなんですか?」「ヴァイオリーン!」って。「大きさが違うでしょ」って言ったら「ギター!ギター!」って確信を持って。
――でも(そういう時は)ヴィオラじゃなくてギターって言って欲しいんでしょ?
そういうとこあるかも。なんだろね。構ってくれるなみたいな?じゃないか…どの楽器もそうだけど一概には言えないね。
――そりゃそうだ。それ言ったら終わっちゃうから。(笑)
ヴァイオリンがイルミネーションの明かりだとしたらチェロは木じゃん?で、ヴィオラは電気の線みたいな。
――いや、ヴィオラはねぇ…んー…空気!ダメ?これ。
いいんじゃない?そうね、お味噌汁に例えると具がヴァイオリンで…
――ヴィオラはダシでしょ。
そうそうダシとかさ。
――よく言われるよね。
お椀がチェロで。
――でも実際問題、御供さんそんなにがっしりしてるほうじゃないし…。
そうでしょー、ここ強調!
――スレンダーでいらっしゃるから(笑)
ここ強調してくださいっ!
――まぁいいんだけどそれは(笑)結構きつくない?
きついよ。一番最初に弾けなくなるのはヴィオラだね。チェロが一番最後まで弾ける楽器ですよね。
――顎上げてるしね。
そう。ほんとヴィオラはかわいそう。重たくてねぇ…。しかも指は開いて押さえるでしょう。ヴァイオリンみたいなことさせられるんだけど、でもヴィオラだしって。同じにはできないのって!(ヴァイオリンと同じに)できないところが私たちの売りだから一緒にしないで…あっ!一緒にしないで、あ、それだわ。
――あぁ、それだ。それが言いたかったのかも私。プライドっていったら言葉悪いね。「一緒にしないで」だ。
一緒にできないことが私たちなの、みたいな。ヴァイオリンと同じことやったらヴァイオリンでしょ、もっとモサモサしてるの。ま、そうじゃないヴィオラもいっぱいいるけど。
宝くじ買った?今日までだよ。すごい行列できてた。女の人はピンクの袋に入れて腰より下の位置に隠すんだって。
――隠すってどうやって?
持って歩くんじゃなくて、自分ちの自分の腰より低い位置に隠すんだって。
――あぁ、私はてっきり服に縫い付けるのかと。宝くじ買ったことない…。
――さっきヴィオラとヴァイオリン一緒にしないでって言ってたけど、例えばそれはどういう時?
例えば弓の弾く位置とか、すごく細かい話するとヴィオラのほうがちょっと大きいからヴァイオリンと同じ弾き方では弾けないの。
――ここは弓先でって言われても弾けないよとか?
例えばおんじなじ8部音符をポンポンポンポンってヴァイオリンが弾く、それと同じことをヴィオラがするときはもう少しヴァイオリンがやってるよりも弓を使って飛ばさないと音が飛ばないとか。ヴァイオリンがものすごく軽く弓の先から3分の1くらいのところでタンタンタンタンってできることが、ヴィオラでそれをやると抜けちゃって音にならないの。うまい人はなるのかもしれないけど。結局同じ場所では弾けないから「この辺で、先っぽいらしいよ」とか「先っぽい音がする場所で」とか、そんな感じでヴァイオリンの弓を参考にしてみたりするかな。だから、お客さまが見ててヴァイオリンとヴィオラの弾く(弓の)位置が違うなぁって思ったときに、ヴィオラだとそこでヴァイオリンのあの音を出すんだなって思ってもらえると嬉しいかな。
――常にアンサンブルとかやってるときにヴァイオリンの人に合わせるっていう姿勢?
やってることによる。ヴァイオリンの人についたほうが正しいと思ったらついていくし、これは飾りでどこかに親分がいると思うと、飾りを一緒にやるようにするか、しないかっていう。
――例えば室内楽だとファースト(ヴァイオリン)に合わせるっていうのがあって、オケはそうでもないけど、ぶっちゃけヴァイオリンの人は、「こういうふうにやるとヴィオラには音が出ないから」とか、「ヴィオラの人にとってこれはよくない」とか…。
思ってないでしょ。
――思ってない(笑)
ほらーわがままなんだよ、ヴァイオリンは結局(笑)
――そうそうそう!絶対思ってないと思うんだ。
だから最初に言ったじゃん、私たちは、ヴァイオリンの顔色見て、チェロの顔色見て。そこに話しがつながるわけであります。
――なるほどー。嫁か。ちゃんとこれつながって、ねぇ。
輪廻転生、あ、ちがうか。
――起承転結?ちがうか…。
弱肉強食。
――…わかんないけど、ちゃんとこう。
猫に小判。
――…ちゃんとできあがったよね。
…かなぁ。
――でもすごい重要じゃん。
もっと言ってくれたまえ。
――全体が変わるじゃん。
あと3回くらい言ってもいいよ(笑)ヴィオラは大事大事。
――(笑) 大事なのは知ってる。
でもヴィオラって楽器の名前とか知らない人いっぱいいるし。
――あ、ヴィオラ自体知らない人?
そうそう。小学校とかに行って(音楽鑑賞教室で)楽器紹介とかやると「これはなんですか?」「ヴァイオリーン!」って。「大きさが違うでしょ」って言ったら「ギター!ギター!」って確信を持って。
――でも(そういう時は)ヴィオラじゃなくてギターって言って欲しいんでしょ?
そういうとこあるかも。なんだろね。構ってくれるなみたいな?じゃないか…どの楽器もそうだけど一概には言えないね。
――そりゃそうだ。それ言ったら終わっちゃうから。(笑)
ヴァイオリンがイルミネーションの明かりだとしたらチェロは木じゃん?で、ヴィオラは電気の線みたいな。
――いや、ヴィオラはねぇ…んー…空気!ダメ?これ。
いいんじゃない?そうね、お味噌汁に例えると具がヴァイオリンで…
――ヴィオラはダシでしょ。
そうそうダシとかさ。
――よく言われるよね。
お椀がチェロで。
――でも実際問題、御供さんそんなにがっしりしてるほうじゃないし…。
そうでしょー、ここ強調!
――スレンダーでいらっしゃるから(笑)
ここ強調してくださいっ!
――まぁいいんだけどそれは(笑)結構きつくない?
きついよ。一番最初に弾けなくなるのはヴィオラだね。チェロが一番最後まで弾ける楽器ですよね。
――顎上げてるしね。
そう。ほんとヴィオラはかわいそう。重たくてねぇ…。しかも指は開いて押さえるでしょう。ヴァイオリンみたいなことさせられるんだけど、でもヴィオラだしって。同じにはできないのって!(ヴァイオリンと同じに)できないところが私たちの売りだから一緒にしないで…あっ!一緒にしないで、あ、それだわ。
――あぁ、それだ。それが言いたかったのかも私。プライドっていったら言葉悪いね。「一緒にしないで」だ。
一緒にできないことが私たちなの、みたいな。ヴァイオリンと同じことやったらヴァイオリンでしょ、もっとモサモサしてるの。ま、そうじゃないヴィオラもいっぱいいるけど。
宝くじ買った?今日までだよ。すごい行列できてた。女の人はピンクの袋に入れて腰より下の位置に隠すんだって。
――隠すってどうやって?
持って歩くんじゃなくて、自分ちの自分の腰より低い位置に隠すんだって。
――あぁ、私はてっきり服に縫い付けるのかと。宝くじ買ったことない…。
――さっきヴィオラとヴァイオリン一緒にしないでって言ってたけど、例えばそれはどういう時?
例えば弓の弾く位置とか、すごく細かい話するとヴィオラのほうがちょっと大きいからヴァイオリンと同じ弾き方では弾けないの。
――ここは弓先でって言われても弾けないよとか?
例えばおんじなじ8部音符をポンポンポンポンってヴァイオリンが弾く、それと同じことをヴィオラがするときはもう少しヴァイオリンがやってるよりも弓を使って飛ばさないと音が飛ばないとか。ヴァイオリンがものすごく軽く弓の先から3分の1くらいのところでタンタンタンタンってできることが、ヴィオラでそれをやると抜けちゃって音にならないの。うまい人はなるのかもしれないけど。結局同じ場所では弾けないから「この辺で、先っぽいらしいよ」とか「先っぽい音がする場所で」とか、そんな感じでヴァイオリンの弓を参考にしてみたりするかな。だから、お客さまが見ててヴァイオリンとヴィオラの弾く(弓の)位置が違うなぁって思ったときに、ヴィオラだとそこでヴァイオリンのあの音を出すんだなって思ってもらえると嬉しいかな。
――常にアンサンブルとかやってるときにヴァイオリンの人に合わせるっていう姿勢?
やってることによる。ヴァイオリンの人についたほうが正しいと思ったらついていくし、これは飾りでどこかに親分がいると思うと、飾りを一緒にやるようにするか、しないかっていう。
――例えば室内楽だとファースト(ヴァイオリン)に合わせるっていうのがあって、オケはそうでもないけど、ぶっちゃけヴァイオリンの人は、「こういうふうにやるとヴィオラには音が出ないから」とか、「ヴィオラの人にとってこれはよくない」とか…。
思ってないでしょ。
――思ってない(笑)
ほらーわがままなんだよ、ヴァイオリンは結局(笑)
――そうそうそう!絶対思ってないと思うんだ。
だから最初に言ったじゃん、私たちは、ヴァイオリンの顔色見て、チェロの顔色見て。そこに話しがつながるわけであります。
――なるほどー。嫁か。ちゃんとこれつながって、ねぇ。
輪廻転生、あ、ちがうか。
――起承転結?ちがうか…。
弱肉強食。
――…わかんないけど、ちゃんとこう。
猫に小判。
――…ちゃんとできあがったよね。
…かなぁ。